会津西部の林用軌道と鉱山  (福島県会津地方)  2016.05       [TOP]  [寄り道]  [廃線Web]


   
  会津地方西部には、磐越西線の駅に隣接する2本の林用軌道があったことが知られている。
 
        開設  
一ノ木林用軌道   一ノ木(一ノ戸)〜川入 大正15年(1926) 5.5km
           
奥川林用軌道   磐越西線・徳沢駅〜 明治45年(1912) 5.3km
  久良谷支線   本線から分岐し、久良谷沢に沿って西へ伸びる支線 昭和6年(1931) 4.5km
           

   
  両軌道の周辺には鉱山があり、運鉱トロッコが林鉄に接続していた、との情報を読者様から頂いたので、当地の鉱山情報を調べてみた。
 
一ノ木林軌の奥にマンガン鉱山があり、終点の川入より更に奥地へも、運鉱トロッコが敷設されていたらしい。
  一ノ木集落には選鉱所の遺構があるとのこと。
   
奥川林軌の奥にマンガン鉱山があり、久良谷沢支線を利用して運鉱していたらしい。
 
 
  三国鉱山   耶麻郡一ノ木村   銅・鉛・亜鉛   日本鉛鉱(株)
  徳沢鉱山   耶麻郡一ノ木村・木幡村・早稲谷村   満俺(マンガン)   杉林黒鉛満俺(株)
  山都鉱山   耶麻郡一ノ木村・山形県南置賜郡中津川村   満俺(マンガン)   岸本鉱業(株)
  「日本鉱山総覧」より(昭和15年)
  このうち、林鉄を利用していたのは山都鉱山(岸本鉱業)との証言があるらしい。
 
 
  一ノ木鉱山   山都町(旧一ノ木村)一ノ木   昭和26年5月にトキワ鉱山が買収し、昭和27年8月まで採掘したが、休山
  福耶麻鉱山   山都町(旧一ノ木村)口沢    
  徳沢鉱山   山都町(旧一ノ木村・木幡村・早稲谷村)   大正時代より探鉱が続けられ、杉林黒鉛満俺が開発している
  山都鉱山   山都町(旧一ノ木村)小白布沢   昭和7年に発見後、岸本鉱業が入手し、熱塩駅まで14kmの索道を設置
           
  久良谷鉱山   西会津町(旧奥川村)久良谷   高綱正一が発見・開発し、昭和27年に初めて杉林黒鉛満俺に売鉱した
  小峯沢鉱山   西会津町(旧奥川村)小峯沢    
  ココ沢鉱山   西会津町(旧奥川村)ココ沢    
 

「福島県鉱産誌」より(昭和39年)

  久良谷沢支線を利用して運鉱していたのは、久良谷鉱山(杉林黒鉛満俺だろうか?
 
   
  この2冊の資料に運鉱トロッコに関する記述はなかったが、山都鉱山に索道があったことは分かった。 
  山都鉱山は一ノ戸川源流部の山形県境にあるのだが、測ってみると確かに日中線・熱塩駅まで10数km離れており、資料と合致している。 
  運鉱トロッコがあった」との証言と矛盾するが、時期によって運鉱方法が異なっていたのかも知れない。
   
  ・奥川第一発電所 大正9年(1920)開業
  ・奥川第二発電所 大正10年(1921)開業
  資材運搬の際に、奥川林軌が使用されたと思われる。
   

   
会津地方西部のマンガン鉱山
 
「福島県鉱産誌」より転載・加工 
 
   
 
   

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