本来の市坂はここを直進していたという。
果たして道は存在しているのだろうか。
笹薮に進入する。
そしてそこには、植林地と化した道が現存していた。
江戸時代の道だ!
平らな部分が奥に続いている。
車道であった明治の市坂より広い。
傾斜も緩やかである。
道形は鮮明で、見失うことはない。
自然の谷の部分なのか、
人工的な切り通しなのか判然としない。
落葉でふかふかだ。
ここからが本来の市坂のようだ。
藪が濃くなり、見通しが利かなくなってきた。
ぬかるんだ部分もある。
眼下には鮮やに白いガードレールが見える。
明治の市坂である。
手前の路肩が崩れているが、
目立った損壊はこの部分くらいである。
そろそろ終点の筈だ。
それにしても、なぜ新道を通したのか判らん。
傾斜も緩やかだし、幅員も十分ある。
さらに何と言っても線形が直線だ。
旧道の方が余程現代風に思える。
前方の視界が開けてくると、そこには
なにやら人工的なものが見えてくる。
何だ、あれ?