原町森林鉄道・馬場線1 (原町市)   2006.06        [TOP]  [寄り道]  [廃線Web]

   (県道49号線 原町浪江線)

 

 

 

 

 

 

「山にはたらく」より引用

 

明治41年(1908)原町林鉄の本線たる馬場線敷設。

昭和4年(1929)新田川線の敷設工事開始。

昭和14年(1939)陸軍飛行場建設のため、一部移設。

新田川線から分岐するルートに変更される。

(手持ちの「分懸図福島懸」はS26発行だが、
戦前のルートが軌道として描かれている)

 

左図に記した道床のほとんどが車道化、

あるいは消失しているため、

横川ダム付近から探索を開始した。

 

なぜなら、この付近には隧道があったらしいのだ。

現在の地形図には道すら描かれていないが、

ダムができる前の航空写真をみると、

軌道からの転用と思われる道が細々と見える。

これを辿れば隧道が発見できるのではないか、

と考えたのだ。

 


まずはK49を走って、ダムサイト北側にある

滝トンネル西坑口に到着。

右側にトンネルの向こう側に抜ける道があるが、

これは旧道ではなくダム管理棟への道である。

ここに入ってゆく。

 

 

横川ダム本体の様子。

過剰な地下水汲み上げによる地盤沈下対策として

昭和59年(1984)に完成した。

 

 

 

 

 

ダムの完成により、林鉄由来の県道は水没した。

奥に付け替えられた県道が見える。

 

(右端に写る巨石は「赤根の立石」)

 

 

 

 

ダムの横に説明版と地図があった。

ダムの下流側には、なんともあっさりと、軌道由来の旧道と

隧道らしき構造物が描かれているではないか。

藪漕ぎの必要はなくなったようだが、

車道化の為の改変は決定的のようだ。

ちと残念。

 

 

ダムから下を覗く。

左側の舗装道が旧道であろう。

あの奥に隧道があるはずだ。

 

 

 

 

 

さらにダムの上を進んだ所から見る。

あれ? あの法面はまさか・・・。

もしかして、削り取られて消失したのか?

それともカーブの奥にあるのだろうか?

やはり足で確認するしかないようだ。

 

 

 

ダムの両側には階段があるのだが、

あれを昇り降りするのは気が進まない。

 

先程の地図では途中で切れていたが、

向こう側からも進入できるはず、と読んで、

入り口を探すことにした。

 

 


予想通りの場所に入り口を見つけた。

右が付け替えられた現県道。

左が原町森林鉄道・馬場線由来の旧県道であろう。

 

 

 

 

ダム管理道と化した道は、暗く、蒸し暑かった。

アスファルトの路面には苔すら生えている。

使用されることは稀のようだ。

 

 

 

 

 

右カーブの外側のガードレールが切れている。

見てみると、一段下に路面が見えたので、

後ほど行くことにして、まずは右へ進む。

 

 

 

 

 

相変わらず陰鬱な道を進む。

県道だったとは思えないような幅員である。

 

やがて奥に、思わずニヤける暗がりが見えてくる。

 

 

 

 

太田川隧道(仮名)に到着。

さすが林鉄由来。 小さい小さい断面である。

わくわくしながら接近する。

 

 

 

 

 

林鉄時代は素掘りだったと思われるが、

車道化にあたり拡幅され、コンクリートで固められた。

それでも県道の隧道としては、いかにも小さすぎる。

 

 

 

 

 

 

 

ダムの完成による旧道化、という経緯がなければ

おそらくこの隧道は消えていた。

少なくとも倍の断面に再拡幅されていたであろう。

 

 

 

 

 

内部は定規で引いたように真っ直ぐであった。

西坑口は道路に対して斜めになっていた。

 

銘板も扁額もなし。

県道時代の名前は「滝隧道」だったのだろうか。

 

 

 

西坑口前には、わずかな離合スペースも設置されていた。

県道としての現役時は、どれほどの交通量があったのだろうか。

今だから、想像してわくわくしてしまうが、

自分が運転して通るのは遠慮したい道だ。

 

 

 

 

その先は、いかにも森林鉄道を彷彿とさせる光景だった。

舗装とガードレールが恨めしい。

荒々しい法面であるが、「落石注意」などの標識は

残っていなかった。

 

 

 

 

コンクリ法面の急カーブを回り込むと、

大きな横川ダムが見えてくる。

 

これ以上進むとダム管理棟から丸見えなので撤収。

後は上から見た通りである。

 

 

 


<寄り道>

さて、往路で気になっていた路面下に見える道床である。

 

 

 

 

 

 

2mほど下に、車道に沿って「道」があるのだ。

気になるので行ってみる。

 

 

 

 

 

 

路盤はコンクリート。

切り通しの間には、水門と制御盤があった。

どうやら地下水路があるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

藪漕ぎ覚悟で来ていたので、

このままではちょいと物足りない。

ダム方向に向かって進んでみる。

 

 

 

 

 

除草された水路上を進む。

頭上に、先程歩いた道のガードレールが見える。

高低差が広がっている。

この先、どんどん広がってゆく。

 

 

 

 

 

 

徐々に藪っぽくなり、落石も現れる。

右カーブは低い切り通しになっている。

実は、こちらが林鉄跡なのではないか?

とすると、この先には別の隧道があることになるのだが。

 

 

 

 

薄い藪を抜け、ふと上を見ると、

どうやら先程見た隧道の西坑口のようだ。

やはりここは軌道跡ではないのか。

さらに進んでみる。

 

 

 

 

 

 

謎の道は、進むにつれてだんだん狭くなっていった。

路肩が崩れている所もあり、心細くなってくる。

オーバーハングの崖の下を慎重に進むと、

樹木に覆われ、その先は断崖で行き止まりであった。

怪しさを残し、消化不良のまま取りあえず終了しておく。

 

 

 

 

 

右に見える青い導水管が、

上図の足元を通っているものと思われる。

 

 

 

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