原町森林鉄道・新田川線11 (飯舘村) 2006.05 [TOP] [寄り道] [廃線Web]
Bの隧道を経て、Cからは廃道に入る。
藪に覆われてる。
でも、見通しが利くのでなんとか行けそうだ。
針葉樹の中を進んで行く。
あれ? と思いつつ進むと、小さな水道橋が現れた。
軌道跡を利用して導水管を埋設したようだ。
安全な橋を渡って対岸へ渡る。
いくら林鉄跡でもこれは狭すぎる。
幅30cmも無いではないか。
とりあえず、そろりそろりと進む。
あまり高くないので、ちょっと楽しい。
私が歩いているのは、たしかに導水管の上だが、
これは軌道跡ではない。
一段下の藪道が軌道跡だったのだ。
藪漕ぎ中に道床の分岐を見失ったらしい。
しかし、法面の上を歩いた方が遥かに楽ではある。
左のマンホールがある方が導水路。
軌道跡は右だ。
なお、左へ進むと先程まで歩いていた
管理道に合流する。
地図にも表記がある、新田川に架かる橋が見える。
かなり高低差が付いてきた。
針葉樹林もなくなった。
木橋は既に朽ち、落ちているが、橋台は両側共に健在だ。
左下には水道橋が見えている。
踏み跡もあるので、山側に迂回して進む。
その時、事故が起こった。
直径15cmもある立木に手を掛け沢に下りようとした、その瞬間。
その木がポロッと根元から倒れた。
バキッとか、メリメリとかじゃなく、ポロである。
完全に腐っていたのだ。
体が重力に引かれ、沢に向かって急激に傾く。「落ちるっ!」
倒木の下敷きにならぬよう、そして何より滑落せぬよう、
脆く急な土の斜面に必死にしがみつく。
なんとか3mほど滑り落ちただけで済んだ。
ポロポロの土の急斜面を滑り滑りよじ登り、なんとか踏み跡まで戻った。
興奮が収まらないまま、体の各部を点検。
両手の爪が土で真っ黒になっていた。カメラは無事。
結局、右肩、右足首、左ひざの軽い捻挫で済んだが、
その後、10日間ほどは階段を上るのが辛かった。
(←気持ちが落ち着いた帰路に撮影)
私が落ちかけたのは水道橋の右上である。
ここを転げ落ちないで、本当に良かった。
枯れ沢の下方には木橋の部品が散乱しているようだ。
ずっと奥まで続く、石垣の法面である。
今でもしっかりと道床を守っている。
「いでいで」言いながら進む。
よほど安定しているのか、道床はしっかりしている。
しかし、いつ床が抜けるか判らんし、
いつ岩が降ってくるか判らんな・・・。
ここで取水して、下流の石神発電所まで
地下パイプを通って送られるらしい。
では、先程の導水管は何なのだろうか?
ますます荒れてきたぞ。
石を積んだだけで、コンクリートで補強されてない
質素な石垣は崩れ、道床に土砂が溢れ出し、
大きな岩が転がっている。
この赤錆びた鉄棒は何だ?
まさかトロッコの車軸ではあるまいな。
なぜ落石の上に乗っているのだ?
上から落ちてきたのだろうか?
まさか上部軌道でもあると言うのか!?
なんて事を考えたのは、現場ではなく帰宅後のことである。
うわー、これは凄い。
かなり大きな橋が架かっていたようだ。
橋脚間のスパンがやたら長い。
二つの橋脚の上部には三つの穴が見える。
木橋だった証拠だ。
まだ再使用できそうなほど、状態が良い。
「いでいで」言いながら下りて行く。
さっきまでいた橋台が見える。
大きな破綻はないようだ。
沢に散乱するのは木橋のパーツだろうか。
水道橋が随分下方に見えるようになってきた。
しかし、私はここで引き返した。 正直に言おう。
怖気づいたのである。
決して不可能でもない、この沢越えを目前にして先程の恐怖が蘇ってきた。
もうここには戻って来れないような気がして、怖くなったのだ。
リベンジを考えてはいるのだが・・・。