原町森林鉄道・新田川線14 (飯舘村) 2007.04 [TOP] [寄り道] [廃線Web]
唐突に目の前に「穴」が現れた。
新田川第五隧道である。
定規で線を引いたような長方形の坑口が特徴的だ。
ここから見ると真っ暗だが・・・。
緩やかにカーブしており、思ったより長い。
向こう側の明かりが僅かに見えている。
路面には落石も少なく、非常に状態が良い。
現役時代と変わりないのではなかろうか。
こちらの坑口は上部がやや丸みを帯びている。
天井からは多少の水が滴っていた。
穴を開けただけ、というなんとも潔い施工だ。
落石防止とか、法面の補強とか何もない。
切り通しにしても良かったと思える状況だ。
自然消滅寸前である。
道床は崩れ、あるいは埋もれて斜面になっている。
かつては暗渠であったかも知れないが、
山側は埋もれてしまっている。
こんな非日常的な光景も見慣れてしまった。
一見のどかな光景に見えるが、意外と危険だ。
落葉の下に何があるか判らないし、路肩の様子も窺い知れない。
谷側を避け、膝まで落葉に埋もれながら壁際を進む。
これも日常の光景になってしまったな。
それより奥の暗がりが気になる。
軌道はあそこを貫通しているはずだ。
「第一」だけを見て感動して帰った2年前が懐かしい。
奥にはこんな強烈な遺構が潜んでいたのだ。
各方向からの落石に加え、倒木が進路を塞いでいる。
隧道内部を覗き込む。
平らな道床が見え、反対側の坑口も近そうだ。
長さは第二の半分程度だろうか。
入ってみよう。
荒れているのは坑口付近だけで、内部は非常に安定している。
「林鉄標準」とも言える断面形だ。
これは酷い・・・。
ほとんど埋もれてしまっているではないか。
土砂の上には人の他に、動物の足跡も見られた。
内部はややカーブしているようだ。
上部からの崩落が特に激しいようで、
坑口はもはや「隙間」でしかない。
右側の斜面にはうっすらと踏み跡が見られた。
この半埋没隧道の通過を避ける人も多いようだ。
いや、平気で進入してしまう私が既に異常なのかもしれない。
足元の路肩は石垣が連なっているが、
その一部が増水時に削られてしまっている。
「空中回廊」だったのが、水面がすぐ脇に来ていた。
いつの間にか川の傾斜が増していたようだ。