中津川森林鉄道2 (猪苗代町) 2005.09        [TOP]  [寄り道]  [廃線Web]

  

[全体図]

[アプローチ]

 

  [ちょっと寄り道]

土場の探索は後回しにする。

ここから少し下流に戻って、

踏み跡がある地点から河原に降りる。

 

 

 

 

 

黒滑八丁とは全く表情を変える中津川。

この付近は「サラ八丁」とか「ザラ八丁」とか

複数の表記があるが、私は「ガレ八丁」を採用。

一抱えもあるような石がゴロゴロしている。

目的地はこの奥、上流部だが、

またしても寄り道して下流へ進む。

 

              

すぐに大きなコンクリート塊が目に入る。

橋台に違いないのだが、

対岸の道は、いったいどこに通じていたのだろうか?

古い地形図にも表記がなく、渡河できないため、

探索も不能だ。

 

 

 

東岸、林道側にも橋台が残存。

秋元湖岸林道に接続していたと思われる。

車道か? あるいは林鉄のものか?

全く資料が無く、判らない。

 

 

 

 

以下は全く根拠のない想像に過ぎない、

地形図から読んだ「妄想」である。

この橋台は車道橋であり、川を渡った後、南下してひと山越え、

レイクライン南側の林道に接続していたのではないか。

そしてこれは秋元湖岸林道の旧道なのではないだろうか。

隧道が掘られるまで、こちらを通っていたのではないか。

そう考えた。

では、中津川橋下にあった遺構は何?という疑問が生じる。

レイクライン南側の林道(閉鎖され廃道)も、工事用道路かも知れないしな。

 

 

  [やっと上流へ]

更に上流にあるという巨大橋梁を見るため、

上流に向う。

いよいよだな、と気合を入れる間もなく、

河原でレールを発見した。

 

 

 

 

接続用の金具もついたままの

赤錆びた細いレール。

道床が崩落したのか、

あるいは橋桁ごと落ちたものか。

想像が膨らむ。

 

 

 

さらにガレ八丁を進む。

身長より大きな岩を迂回したり、よじ登ったりして

体力を消耗させられる。

この辺りで軽登山靴とソックスを脱ぎ、

ウェットシューズに履き替える。

脱いだ靴とザックをデポして、レッツ溯上!

ちなみに服装はTシャツに短パン。普段着である。

まあ一応速乾性の素材のものだが、

沢をナメてる、としか言い様がない・・・。

 

時々チャプチャプと足先を濡らしながら進むと

グニャリと曲がった長いレールを見つける。

 

 

 

 

 

 

どうやら6kg/mのレールのようだ。

おもちゃみたいなレールに見えるが、

これでなかなか硬くて重いのだ。

 

 

 

 

 

さらに進むと、またしても様子が変わってきた。

白っぽい一枚岩のハーフパイプの中に入って行く。

白滑八丁のに入りつつあるようだ。

徐々に「チャプチャプ」では済まなくなってきたが、

まだ「水が冷たくて気持ちいい」なんて言っていられた。

 

 

 

 

 

楽に歩ける平場を探しつつ、

右岸、左岸と何度も渡渉しながら進む。

水は透き通り、流れもゆったりしているので、

全く危険は感じない。

 

 

 

 

ザブザブと中津川を溯上する。

靴の下は、砂でも砂利でもない、

滑らかな一枚岩である。

よって非常に歩き易いが、深い箇所があったり、

流れが急な場所もあるので注意が必要。

冷たさが凍みてくる。

 

 

河原があれば水中よりもそちらを歩く。

錆びたレールが岩にもたれ掛かっている。

 

 

 

 

 

 

半分埋もれたレールもあった。

 

 

 

 

 

 

 

またしてもレール。

始めは感動していたが、

これだけあると有難みも薄れるってもんだ。

よく探せばもっと見つかったかも知れない。

しかし目的は巨大橋脚なのだ。

 

 

 

 

 

おおッ!!

河原に転がる錆びたドラム缶を発見!

こんな「ゴミ」にも感激するのには理由がある。

中津川上流には今も昔も人家などないのだ。

と言う事は、林鉄が現役時に「上の土場」か、

あるいは運搬中の貨車から落ちたものであろう。

 

  前項に書いた通り、昭和30年(1955)に上の土場付近で転落事故が発生しているので、
  その時の「遺構」かも知れないのだ。 興奮せずにいられるか、って!

 

徐々に川幅が狭くなり、回廊状になってきた。

水深が深くなってきており、

歩けるルートが限定されてくる。

 

 

 

 

 

西岸を進んでみる。奥から滝の音が聞こえる。

斜面の傾斜はきつく、水面から下は

急に深くなっている。

水深は腰までくらいだろうか?

これ以上進むのを諦めて引き返そうとしたが、

濡れた岩肌が滑って、一歩も動けない!

進退窮まる、とはこのことか・・・。

 

なんとか下流側に引き返し、

今度は東岸から溯上を試みる。

上の画像で岩肌が光っている箇所があるが、

あの辺りまでは進めた。

そしてこれが

今回の探索の最後の画像になった・・・。

 

 

  [あえなく撃沈]

「もう少し行ける」とじりじり進む。
「あっ!」と思った瞬間、私は水の中にいた。
滑って川に落ちたのだった。
首に提げたデジカメを頭上に挙げる。
すぐに這い上がろうとしたが、なんと足が届かない!
腰まで、と思っていた水深は、意外に深かったのだ。
少し下流に泳いだら足が川底に着いたので、
そこから岸に上がる。
すぐにデジカメのバッテリーを抜く。
次に体の各部点検。
手足の指を動かしてみる。動く。骨折なし。
目視確認すると、左肘、左膝から出血している。
打撲のため痛みもある・・・・川に落ちたよ、オレ・・・。

 

  全身ずぶ濡れになって「怖いものがなくなった」とも言える状況だが、「水に入る」のと「川に落ちる」のでは
  精神的ダメージが全然違った。軽いがケガもしている・・・・撤退だ。
  ショックで呆然とし、しかしまだ緊張は保ったまま、ザックをデポした地点まで戻る。
  石に座って休憩する。まだショックが抜けない。濡れたデジカメは動かなくなっていた。
  ザックから救急キットを取り出して消毒する。着替えはザックではなく車の中だ。

  往路を忠実に戻り、「下の土場」にも寄らず、レストハウスの車まで戻る。
  愛車を見て緊張が少しずつ解き放たれて行く。
  下半身が濡れる程度は覚悟していた。だからこそ着替えも用意してきたのだ。
  しかし首まで水に浸かるとは。いや川に落ちるとは想定していなかった。
  デジカメが動かなくなったのもショックだった。

  ここは観光地。次々にやってくる家族連れや恋人たちの笑顔が眩しい。
  「オイラはさっき、凄い体験をしてきたんだよ・・・」
  残暑の強い日差しだけが冷えた体を温めてくれた。

  しかし、ずぶ濡れの服まで乾かしてはくれない。
  特に下腹部が濡れたままなのは気持ち悪いことこの上ない。
  結局、レストハウスのトイレで着替えた。
  前述の通り、カメラ故障のためTUKA着替え中の「お宝画像」はない。スマヌ。

  白滑八丁で見られるのは、橋脚ではなくレールの方であった。私は勘違いしていたのだ。
  橋脚はまだまだず〜〜〜っと上流であることが、後日判った・・・。
  普段着で沢登りはできない、ということも学習した。(おせーよ!)

  一番ショックだったのは、私のスキルが小学生以下だった、
  ということをまのさんのブログで知った瞬間かな・・・・・・○| ̄|_

 

   ←前へもどる      次はあるのか→

      [TOP]  [寄り道]  [廃線Web]