原町森林鉄道・新田川線7 (原町市〜飯舘村) 2005.04  [TOP]  [寄り道]  [廃線Web]

 

  <新田川第一隧道>

瓦礫の向こうに口を開ける漆黒の暗がり。

あれこそが今回最大の目標地点である。

これまでの疲れが一気に吹き飛ぶ。

 

 

 

 

 

はやる気持ちを抑えつつ、

道床を埋め尽くす瓦礫の山に上る。

ついに、

やっと、切り崩すのを諦めて

岩山に穴を開けたようだ。

  隧道だ!

 

                     

東坑口に更に接近する。

林鉄の特徴である縦長の坑口が見えるが、

隧道手前の道床にも注目したい。

急斜面をL字型に抉り、それでも足りなくて

さらにコンクリートの擁壁で幅員を稼ぎ、

なんとか軌道を敷く道床を作り出している。

涙ぐましい努力の痕跡が窺えるのだ。

岩の急斜面ゆえ、土の層が非常に薄く、

樹木も大きく成長できないようだ。

 

よしよし、抜けている。

大きな落盤もないようだ。

行くぞ。

入るぞ。

もう、心臓バクバクだ!

(ここで振り返ったり、山の上を見たり、
谷底を覗き込んだりすべきであった・・・)

 

隧道内部に進入。

言うまでもないが、素掘りである。

ゴツゴツと荒々しい壁面は

当時のままの状態であろう。

坑口から入る光でなんとか足元は見える。

懐中電灯は不要だ。

 

 

半分ほど進んだ。

道床は厚く落ち葉に埋もれている。

ふかふかかと思ったら、さにあらず。

道床の中央ライン部分は水没していた。

しかし落ち葉に隠れて全く見えない。

注意すべし。

 

 

水があるということで、ここにはカエルが住んでいた。

突然大きな声で鳴かれて、大いに驚く。

道床の左側には誰が置いたのか飛び石があるので、

これを利用してソロソロと歩く。

なかなか撮影している余裕がない。

出口に接近する。

 

 

 

 

同じ場所でストロボ撮影。

西坑口付近は乾燥しているようだ。

東坑口からは水が染み出していたので、

隧道内は緩い上り勾配になっているのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

隧道を突破!

振り返って撮影する。

当然銘板なんてないので、

新田川第一隧道と勝手に命名する。

 

 

 

隧道の場所を地図上で示す。

国土地理院発行の地形図にも

この隧道は表記がない。

 

廃林鉄自体は点線で表記されていることが多いが、
隧道に関しては、現存しまた通過可能にも関わらず、
ことごとく無視されているのはなぜだろう?
「危険防止の為、意図的に削除されている」
のだろうか? 余計なお世話だよなー。

 

隧道を出ると急にカーブしているため、

西坑口の全体像を正面から撮ることができない。

一応、隧道と稜線との位置関係を説明すべく撮影しておく。

 

 

 

 

 

 

 

やや進んだ所で撮影。

離れ難くて何度も振り返る。

画像左に見える谷を挟んだ対岸からも

木々の間に見え隠れしている。

 

 

 

 

隧道の先は、再び凄まじい岩壁の

へつり道になる。

いやー凄い所にいるなー、オレ。

もう会社になんて行きたくなくなるよなー。

 

画像の木製標柱には、

「土砂崩壊防備保安林」とあった。期待外れ・・・。

 

上の画像の左コーナーを曲がると、

短いストレートがある。

「短い」といってもこの路線では長い方だ。

そのストレートを振り返り見る。

「空中回廊」としか言い様がない。

 

遥か下には渓流。 見上げれば青い空。

「道」以外の人工物が全くない世界に酔う。

 

 

この無粋なコンクリ擁壁を見て

引き返すきっかけにすることにした。

徒歩1時間10分の冒険であった。 

もう十分満腹だ。

トワイライトゾ〜ン MANUAL 6」によると、
隧道から500m先で道は藪に覆われ始め、
藪漕ぎすること1km先で道床が大崩落。
進行不能になる、とのことです。

 

隧道より上流の新田川には、二つの堰がある。
工事用道路存在の可能性が考えられる。
肝心の軌道は二つの峠越えに望むようだが(緑の矢印)、
この付近の状況も気になる所だ。

が、しかし、その全てをうっちゃって、

さらに上流へ大迂回するのだった。

 冒険は続く。

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