安積疏水の利水2 (郡山市)   2004.05/2007.08/2018.04      [TOP]  [寄り道]  [発電所]

 

<沼上発電所>

現在水路を流れる水は、地下で新安積疏水に合流しており、水面を見ることはできない。

旧水路はこの辺りを右から左に流れていたが、現在は国道の築堤に埋められ、

隧道となって現存している。

完成当時は沼上峠の下を貫いた沼上隧道を通って郡山側に抜けていたのだが、

明治32年(1899)、疏水の落差を利用して水力発電所が造られた。

これが福島県で2番目に古い沼上発電所である。

後に触れる。

 

上戸に取水口が移った際に放棄された施設が、今でも国道の築堤下に残っている。

これが旧田子沼分水工である。

2基の水門が見えるが、機関部は赤くサビ、木製の水門はボロボロであった。

 

 

 

 

築堤を下って水門側から内部を見る。

接近して見た水門は見上げるような大きなものだった。

そして石垣で囲まれた大きな丸い穴。

周囲には手すりが設置されている。

 

 

 

 

穴の底には見るからに深そうな竪坑がある。

放棄された今でも水を湛えている。

見てると吸い込まれそうで怖い。

 

 

 

 

 

水門の奥に隧道がぽっかりと口を開けている。

こちらが安積疏水・沼上隧道であろう。

 

右上部にも小さな隧道がある。

 

重ねて言うが、沼上発電所は現在も稼働中であり、

これらは取水口の変更に伴なって生じた遺構である。

 

さて、国道の中山トンネルを抜けて発電所に行ってみよう。

 

2009.03の様子は→こちら


585mに及ぶ沼上隧道を抜け、五百川に滝となって注ぐ。

それほど長い隧道ではないが、脆い地質のため開削は難航したと言う。

この水量と落差に着目した地元の資産家が郡山絹糸紡績を設立し、

同時に建設した水力発電所から送電を始めた。

その後不況になると紡績部門を他社に譲渡し、

郡山電気と改称して純粋な電力会社になり、発展して行く。

 

草に埋もれた旧国道49号線上から望む。

 

 

約40mもの落差を持つ水路は「沼上瀑布」とか「震天瀑」と呼ばれ名所になった。

 

これは昭和6年(1931)に撮影されたもので、

右上に水圧鉄管が少し見えている。

木造の建物は、上部水槽の水門管理小屋だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の沼上発電所の様子。

上部水槽には2基の水門、2本の水圧鉄管。

手前に建て直された発電所建屋、放水口などが見える。

 

手前は沼上瀑布と合流直後の五百川。

 

 

 

水門には「東京電力 沼上発電所」の文字が見える。

2つ上の画像と比較すると、鉄管の位置も変わっているようだ。

 

 

 

 

 

 

放水口のすぐ下流には堰堤が設置され、

竹之内発電所へと取水される。

 

 

 

   ←前へもどる      次へ進む→

      [TOP]  [寄り道]  [発電所]

 

  古写真は「土木学会付属・土木図書館」様より転載させて頂きました(使用許諾済)