猪苗代第一発電所工事軌道 (河東町) 2005.10 [TOP] [寄り道] [廃線Web] [工事軌道TOP]
<戸ノ口専用鉄道2>
『軌間二尺六寸の複線にして・・・』
『機関車はドイツ・アーサーコッペル社製造
20馬力のもの3両を使用し・・・』
『砂利および砂の運搬には函形放下車24両、
木材その他のもの積載には無蓋貨車18両を使用せり』
<水路に沿って北上>
この道自体が工事軌道の跡なのだが、
きれいに舗装され、普通の田舎道と変わりない。
ここに複線のレールが敷かれていた。
しばらく進むと、右に分岐がある。
この先に取水堰や水門がある。
現在は砂利道になっていて、
その先に、第一号暗渠がある。
左にカーブして行くのが本線で、
分岐線は、ここを直進していた。
東電の管理用道路として、辛うじて残っているが、
軌道の痕跡はない。
軌道は戸ノ口堰を渡っていた。
当然、橋が掛かっていたわけで、
現状が気になる所である。
「橋」の気配が全くしないが、制限標識でそれと判る。
なぜか橋桁の上だけ舗装されていない。
あ〜あ。当たり前だが架け替えられている。
H型の鋼材でできた、普通の橋だ・・・。
諦めきれずに、橋の下を覗いてみる。
この台座と鉄パイプって、もしかして橋脚かい?
こんな細い堰を跨ぐのに、橋脚が必要なのかい?
それほど脆弱な橋桁が架かっていたという証左か。
と言うわけで、工事軌道の痕跡のニオイが
プンプンする物件であった。(本当に臭かった・・・)
橋台にも古い石垣が見られた。
藪の薄い時期に通ってみたら、すぐ下流に一対の橋台を発見した。
林鉄でよく見る形状の切り石積み橋台である。
桁はガーダーか、あるいは木製か。
水路に沿った管理道が除草されているので歩いてみたら、
さらに下流でまた橋台を見つけた。
割り石が雑に積まれており、一部崩れているがちゃんと一対あった。
開拓農家のための人道橋だろうか?
[2009.04]追記
右に上るのが第四分岐線である。
舗装はされていないが、車でも入れそうな
幅員が確保されている。
探索目的なので、徒歩にて進入する。
なかなか軌道っぽくて、いい感じだ。
画像は、切り通しを抜けた辺りから本線側を
振り返ったところ。
正面に第一水路橋が見えてくる。
右の土手を登ると、第四号暗渠の真上に出る。
すぐに第二水路橋が見えてくる。
右は発電所に至る車道で、軌道は左へ進む。
高い石垣になっており、
終盤に来てやっと大規模遺構が見られる。
とても非力なコッペルが上れるとは思えないが、
土木学会誌の地図には軌道として描かれている。
この貯水槽付近が、
戸ノ口専用鉄道の終点であった。