「土木図書館・デジタルアーカイブス」内「土木建築工事画報」第２巻５号（大正１５年発行）より引用
猪苗代第四発電所工事軌道 （磐梯町） 2005.11 [TOP] [寄り道] [廃線Web]]
＜広田専用鉄道１＞
「土木図書館・デジタルアーカイブス」内
「土木建築工事画報」第２巻５号（大正１５年発行）より引用
『工事用材料運搬の為め、磐越西線大寺駅より
第三発電所迄延長3.4哩（大寺専用鉄道）、及び
同線広田駅より第四発電所迄3.0哩（広田専用鉄道）
何れも二十五封度軌条を以て、軌間二尺六寸の
専用軌道を布設し、電気機関車を運転せしむ』
この鉄橋の奥に見える白い建物の
さらに奥が工事軌道の終点なのであるが、
発電所の敷地内になっており、入れない。
軌道の痕跡は残っていないようだ。
すぐ左には発電所が建っている。
「猪苗代第四発電所」のレポートはこちら
発電所脇を出た軌道は、すぐに県道を横断し
さらに日橋川を渡っていた。
その当時掛けられた鉄橋が、現役で現存している。
これが切立橋である。 （詳細はこちら）
切立橋を渡ると車道は急坂になるので、
この車道が軌道由来でないことは明白である。
では、軌道はどこに？
橋を渡った直後、西へ伸びる砂利道がある。
当初、これが軌道跡だと判断したのだが、
橋との角度が急過ぎるし、またこの砂利道を
進んでも、やがて水田になってしまう。
結局正解は、車道と砂利道の間にある森が
軌道跡であった。
その森の中に入ってみると、笹が密生しており、
また植林が進んでおり、道床が認められない。
闇雲に進んでも成果は得られないと判断し、
脇を通る車道から様子を見ることにする。
急坂を上りきった所で振り返る。
中央奥に見える白い建物が第三発電所である。
路肩にある柵を越え、斜面の下を見ると、
藪にも覆われず、細長い平場があった。
あれが軌道跡に違いない。
ここから下るには、斜面が急過ぎるので。
再び橋の袂に戻り、そちらから接近することにする。
砂利道の入り口には、現在の発電所の管理者である、
「東京電力」の文字と「切立グランド」との看板が
見られる。
「この砂利道の奥にグランドがあるの？」
地図にも記憶にもないが、そこまで行ってみよう。
林の中の砂利道を進む。
左側を遠望しても、軌道の痕跡は感じられない。
しばらく進むと、砂利道は右に曲がって行くが、
道なりに進んでも水田があるだけである。
ここは、正面のススキの中に突入してみる。
身長よりも高いススキの藪を抜けると、
そこには広大な平面があった。
これが「切立グランド」に違いない。
奥に見える斜面に工事軌道があるに違いない。
入り口を見失わないように確認しながら奥へ進む。
なるほど「グランド」だわい。
バックネットと得点ボード(H6.6.24設置)がまだ立っていた。
かつてはここで東電職員が野球をしたのであろうか。
そして、バックネットの裏側に軌道跡を見つけた。
上に見えるフェンスは、先ほど上った車道である。
手前のネットとの間にある段差が工事軌道の跡である。
上って行ってみよう。
ついに何度も通って探した軌道跡を踏む。
道床はしっかり残っている。
路肩には桜が植えられ、並木になっている。
廃止後は車道として利用されていたらしい。
左の法面のすぐ上に車道のフェンスが見えている。
面白くなってきた。先へ進もう。
道床には指標が設置されていた。
猪四発電所
基準点 9-4
との新しいプレートがあった。
現在は「東電第四発電所」になっているので、
「猪」の文字は貴重である。
なお、この先には「9-3」もあった。
むわー。 笹薮が濃くなってきた。
腰程度なので、なんとか漕いで進む。
負けるもんか。
ふう、脱出。
レールも枕木もないが、楽しくて仕方がない。
いつの間にか車道との高度差が
これほどまでに開いていた。
法面に石垣が見られる。
荒れてきた。
せっかくの桜が折れてしまっている。
マムシ草の赤い実が目立つ。
また笹の海だ。今度は胸まである。
奥は更に荒れている様子。
うぐう・・・。
桜並木はまだ続いているが、
探索はこの辺りでキリをつけよう。
振り返ると、真っ直ぐな軌道跡と路肩には桜並木。
花の季節は、さぞや綺麗であろう。